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​ウェブマガジン「なぎさ」について

 なぎさは、この世とあの世の境界とみなされてきました。寄せては返す波に乗り、異界からさまざまな「寄りもの」がもたらされます。あるときは椰子の実、あるときはクジラ、またあるときは海底噴火による軽石です。

 かつて、なぎさには産屋が建てられ、ここで出産して海の向こうからいのちを呼び寄せました。死者が出たときには、骨を洗って遺品の着物を流し、海の向こうへと魂を送り出しました。

 

 そのため、なぎさには人間の浅はかな知恵による人工物など、建ててはならなかったのです。

なぎさを破壊して原子力発電所を作ることが、あるいは大量の土砂を投入して軍隊の基地を作ることが、どんなに愚かな事態を招くか、私たちは肌で知っています。

 NPO法人東京自由大学のウェブマガジン「なぎさ」は、2013年から8年半にわたって続けられてきたウェブマガジン「EFG」(=the Earth of Free Green)の想いを引き継ぎ、自然や身体、歴史からこぼれ落ちた波打ちぎわの小さな声を聞きながら、生きる営みを模索・実践している人々に寄稿をお願いしました。

 ウェブマガジン「なぎさ」を、さまざまな世界からさまざまな文物がもたらされる開かれた場にしていければと願います。そしてここを訪れてくれる読者が、あるときは穏やかな波音に心を落ち着け、またあるときは嵐のような荒波に心をかき乱されながらも、マイペースに足を運びつづけてくれるような場所になるよう、じっくり育てていきたいと思うのです。

2022年5月1日

ウェブマガジン「なぎさ」編集人

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ウェブマガジン「なぎさ」編集人

中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程単位取得退学。現在、NPO法人東京自由大学運営委員長、法政大学沖縄文化研究所国内研究員、中央大学政策文化総合研究所客員研究員、株式会社風と光代表取締役。主な著書に『韓国・朝鮮の近現代史と日本』(李熒娘編著、中央大学出版部、2025年)、主な論文に「寺山修司と沖縄―アンビバレントな眼差しをたどる」『知性と創造』(11)日中人文社会科学学会、「生と死をめぐる風景」『南島研究』(57)など。

背景画像:「精霊の巌」彩蘭弥

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