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​ウェブマガジン「なぎさ」について

 なぎさは、この世とあの世の境界とみなされてきました。寄せては返す波に乗り、異界からさまざまな「寄りもの」がもたらされます。あるときは椰子の実、あるときはクジラ、またあるときは海底噴火による軽石です。

 かつて、なぎさには産屋が建てられ、ここで出産して海の向こうからいのちを呼び寄せました。死者が出たときには、骨を洗って遺品の着物を流し、海の向こうへと魂を送り出しました。

 

 そのため、なぎさには人間の浅はかな知恵による人工物など、建ててはならなかったのです。

なぎさを破壊して原子力発電所を作ることが、あるいは大量の土砂を投入して軍隊の基地を作ることが、どんなに愚かな事態を招くか、私たちは肌で知っています。

 NPO法人東京自由大学のウェブマガジン「なぎさ」は、2013年から8年半にわたって続けられてきたウェブマガジン「EFG」(=the Earth of Free Green)の想いを引き継ぎ、自然や身体、歴史からこぼれ落ちた波打ちぎわの小さな声を聞きながら、生きる営みを模索・実践している人々に寄稿をお願いしました。

 ウェブマガジン「なぎさ」を、さまざまな世界からさまざまな文物がもたらされる開かれた場にしていければと願います。そしてここを訪れてくれる読者が、あるときは穏やかな波音に心を落ち着け、またあるときは嵐のような荒波に心をかき乱されながらも、マイペースに足を運びつづけてくれるような場所になるよう、じっくり育てていきたいと思うのです。

2022年5月1日

ウェブマガジン「なぎさ」編集人

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